脳梗塞と鍼灸治療
脳梗塞と鍼灸治療
脳梗塞は、脳の一部が血流の閉塞によって酸素供給が不足する状態を指します。これは通常、動脈が血栓や塞栓によって閉塞されることによって発生します。脳梗塞の症状、原因、および治療法について、それぞれの側面に焦点を当ててみましょう。
症状
脳梗塞の症状は、梗塞が発生した部位によって異なりますが、一般的な症状には以下が含まれます。
- 突然の強い頭痛
- 顔の片側または手や足の片側の麻痺またはしびれ
- 言葉の理解や発話に関する障害
- 平衡感覚の喪失や歩行困難
- 急激な視覚の喪失または視野の狭窄
原因
脳梗塞の主な原因は、血管内に血栓や塞栓が形成され、脳の血流が阻害されることです。主な原因として以下があります。
- 動脈硬化(アテローム性動脈硬化): 血管壁に脂質が蓄積し、血栓が形成されやすくなる。
- 高血圧: 高血圧は動脈を損傷し、動脈硬化や血栓形成を促進する。
- 心房細動: 心房細動の患者は塞栓ができやすく、これが脳梗塞を引き起こすことがある。
治療法
脳梗塞の治療法は、発症からの時間経過や患者の状態によって異なりますが、一般的な治療法には以下が含まれます:
- 溶栓療法(血栓溶解療法): 血栓溶解剤を使用して、血栓を溶かし、血流を回復させる。
- 抗凝固療法: 血液が凝固しにくくなる薬物を使用して、新たな血栓の形成を防ぐ。
- 脳梗塞予防薬: 原因に応じて、高血圧薬やコレステロール降下薬などが処方される。
脳梗塞後遺症への鍼灸治療
脳梗塞後遺症に対する鍼灸治療はとても効果的です。私も現在、往診にて脳梗塞後遺症のかたを見ています。
脳梗塞後遺症に対する鍼灸治療として目指すものは以下のものです。
- 関節拘縮の可動域拡大、筋緊張緩和、血流促進
- 麻痺側の痺れや痛みの緩和
- 意識障害、高次脳機能障害などの改善
などです。
又、脳梗塞後遺症に対しては、中国で開発された醒脳開竅法という鍼灸治療ほうがあります。
以下醒脳開竅法についての解説。
醒脳開竅法
1972年、石学敏教授を中心にしたチームが、天津中医学院第一付属医院(現在の天津中医薬大学第一付属医院)で、伝統的な中医理論を基に現代医学理論や臨床実践を組み合わせて開発された醒脳開竅法が登場しました。この治療法は主に脳卒中後遺症の治療に応用され、脳卒中前兆、後遺症、合併症に対する系統的な治療法や処方、操作方法を確立しました。
16年間にわたる1972年から1988年までの治療実績では、2959例の脳卒中患者が入院し、醒脳開竅法による治療が行われ、その結果、総有効率は96.42%に達しました。
醒脳開竅法は脳卒中の急性期に発生する意識障害と後遺症に対する特殊な鍼治療法であり、現代中国では最も有名な脳卒中の鍼灸治療法の一つです。この治療法は、石学敏教授が十何年もかけて実験研究と臨床を重ねて確立したもので、4005人の患者の臨床例を通じて、脳卒中に対して著しい治療効果が得られたことが示されました。さらに、この治療法は伝統的な鍼治療法や薬物療法よりも優れていることが明らかになりました。現在、醒脳開竅法は中国の鍼灸界において脳卒中治療の根本的な手法となっています。
脳梗塞後遺症に対して鍼灸治療はとても効果的です。また、脳梗塞の予防にもとてもこうかてきです。首や肩の筋緊張をやわらげることにより脳血流が良くなり、詰まりやすくなるのを防げるからです。
さまざまな病気の予防のためにも定期的に鍼灸治療を受けることをお勧めします。
大森くれよん鍼灸院
院長新垣智一