初診治療の流れ
問診
鍼灸治療初診の方はまず初めに問診を詳しく行います、約20~30分程お話を聞きます。
主に聞くことは以下の3つです。
- 現在の身体の状態
- 過去のことについて、生まれてから今までどのようなケガや病気、出来事があったか等
- 日常生活について
問診では現在の症状もそうですが、生まれてから現在までのケガや病気、出来事を詳しく聞いていきます。それは現在の身体は今までの積み重ねで出来ているので、今まで起きた出来事が現在の身体に関係してくるのです。
そして病院に行かないまでもの打撲や怪我でもその部位を押したりすると痛みが出る場合があります、これは未だに体に悪影響を与えいると考えます。ですので過去のことは詳しく聞いていきます。
また日常生活の情報もとても重要です。とくに自分で体に良いと思って取っているものが実は体を冷やす作用があり、症状に関係している場合もあるのです。
身体診察
次に身体を診ていきます。
鍼灸治療では、症状の出ている場所だけでなく「全身」そのヒトが治療の対象になります。ですので足先から頭の先まで全身のツボの反応や、熱感、筋肉の緊張、姿勢、肌の状態などあらゆる情報を取っていきます。
治療
そうして身体を診ましたら、鍼灸治療に移っていきます。
身体診察や問診で得た情報を基に鍼とお灸で体を芯から温めていきます。
ちなみに、鍼は主に接触鍼という皮膚に軽くあてる方法で行いますので痛みはありません。刺入が必要な方であればしっかりと刺入することもあります。刺入する場合でも、注射針と鍼灸の針先はちがっており注射を刺された時のような痛みはありません。ほぼ無痛で終わることが多いです。感じるとすれば鍼の独特な感覚であるズーンとくるひびきです。
養生指導
最後に、施術が終わりましたら今現在の身体の状態、これからの治療方針、日常生活で気を付けることなどをお伝えします。
そして鍼灸治療を受ける時間というのは日々過ごす中で一瞬のことです。本当の改善を目指すには毎日の日常生活を気を付けなければなりません。日常生活で生命力を下げてしまっている要因がありましたらそれをすぐにやめたり頻度を減らすことが重要です。そうしますと、鍼灸の効果はさらにたかってくるのです。
使用する鍼灸道具
SJ銀鍼(SJぎんしん)
当院でメインに使う鍼はこの積聚会特注のSJ銀鍼です。
積聚治療を行うために特別に設計されたこの鍼は、「銀」で作られています。この銀製の鍼は、通常の鍼とは異なり、その鍼先が卵型になっています。この独特な形状により、刺入が非常に難しくなっていますが、それがかえって施術の一部として大きな役割を果たしています。
卵型にすることで刺入がしづらくなるため、施術者は鍼を通じて患者の皮膚の状態を敏感に感じ取ることができます。健康な状態の皮膚は弾力があり、鍼が簡単には刺入できません。したがって、鍼がすぐに皮膚に刺入してしまう場合、それは皮膚が弱っており、全体的に体が非常に弱っている状態を示しています。このため、刺入のしやすさは、患者の体調を判断するための重要な指標となります。
積聚治療は、体の内部バランスを整え、全身の健康を向上させることを目的としています。この特別な銀製の卵型鍼を用いることで、施術者は患者の体調を精密に評価し、最適な治療をすることができます。このように、積聚治療における銀製鍼は、単なる治療器具としての役割を超え、診断の一部としても非常に重要な役割を果たしています。
この特別な鍼を通じて、施術者は患者の体調を直感的に感じ取り、最適な治療を実施することで、より高い治療効果を出していきます。
鍉鍼(ていしん)
鍉鍼とは、刺さない刺入しないで皮膚に軽く当てるだけの鍼です。
鍉鍼(ていしん)とは、刺さない鍼として知られています。この鍼は刺入を行わず、皮膚に軽く当てるだけで治療を行うため、非常にソフトな刺激を提供します。鍉鍼は、通常の鍼では刺激が強すぎてしまう敏感な体質の方や、特に小児に対してよく使用されます。
鍉鍼の使用方法は、鍼の先端を皮膚に軽く押し当てるだけであり、これによって経穴(ツボ)や経絡(エネルギーの流れ)の調整を行います。刺入を行わないため、痛みを感じることは一切ありません。このため、鍼治療に対して恐怖心や不安を抱いている患者でも、安心して施術を受けることができます。
小児に対する使用では、鍉鍼は特に有用です。子供たちは通常の鍼治療に対して敏感であり、痛みや不快感を感じやすい傾向があります。鍉鍼を使用することで、子供たちがリラックスした状態で治療を受けることができ、親も安心して任せることができます。子供の体は成長過程にあり、繊細なバランスを保つ必要があるため、このようなソフトな治療方法が適しています。
さらに、鍉鍼は高齢者や体力の低下した患者にも適しています。これらの患者は、通常の鍼治療が過度な刺激となることがあるため、鍉鍼のような穏やかな方法が求められます。鍉鍼を使用することで、全身のエネルギーの流れを整え、自然治癒力を高めることができます。
三稜鍼
三稜鍼とは針の先が三角錐になっている鍼のことです。
三稜鍼は、刺絡という特別な治療方法に用いられる鍼です。刺絡とは、体内に滞っている瘀血(うっ血している血液)を排出するための鍼治療の一種です。瘀血は、血行が悪くなり、体内の循環が滞っている血液のことを言い、この瘀血が体に影響を与える状況が続くと様々な健康問題を引き起こす可能性があります。刺絡治療では、瘀血のある部位に三稜鍼を刺入し、血液の排出を促すことで、血行を改善し、身体のバランスを整えます。
さらに、三稜鍼を刺した部位にカッピング(吸い玉)を併用することもあります。カッピングは、特定の部位にカップを吸着させ、皮膚を吸引することで血行を促進し、瘀血の排出を助ける方法です。三稜鍼による刺絡とカッピングを組み合わせることで、より効果的に瘀血を排出し、血液循環を改善することができます。
この組み合わせ治療は、特に慢性的な痛みや疲労感、ストレスによる体調不良に対して有効です。施術後は、体が軽く感じられ、リラックス効果も得られるため、多くの患者に好評です。さらに、定期的な治療を受けることで、体内の血液循環が継続的に改善され、健康維持や予防医学の観点からも大変有益です。
お灸
そして、お灸です。
当院で行うお灸は主に以下の2つです。
- 「知熱灸(ちねつきゅう)」
- 「透熱灸(とうねつきゅう)」
知熱灸とは、もぐさを使用する温灸の一種です。知熱灸の具体的な方法としては、1センチくらいの小さな三角錐形に整えたもぐさを皮膚の上に乗せます。このもぐさを点火し、燃焼させることで熱を発生させます。
施術者は、患者が熱さを感じたタイミングを注意深く観察し、その瞬間に燃え尽きる前にもぐさを取り除きます。これにより、皮膚に直接的な火傷を避けながら、適度な温熱刺激を与えることができます。この過程は、患者が感じる熱さと心地よさのバランスをとるために非常に重要です。
知熱灸は、温熱刺激によって血行を促進し、体内の気や血の循環を整える効果があります。そのため、冷え性や血行不良、筋肉のこりや痛みを感じている人に対して有効です。
そして、透熱灸とは、非常に小さなもぐさを使用するものです。この方法では、米粒くらいの大きさに捻ったもぐさを皮膚の上に直接乗せて点火し、燃焼させます。透熱灸は、もぐさが燃え尽きることで微小な火傷を皮膚に残す程度まで行うため、患者はチクッと一瞬の熱感を感じます。
透熱灸は、刺激が強い施術方法であるため、深い部分の治療や、特定の経穴(ツボ)に対して効果的です。微小な火傷を残すことで、皮膚の再生過程を刺激し、治癒効果を高めることができます。この火傷は非常に小さく、適切なケアを行えばすぐに治りますが、治療効果は持続します。
一方で、刺激を弱くする方法として、もぐさが完全に燃え尽きる前に消してしまう方法もあります。この方法は「八分灸」と呼ばれます。八分灸では、もぐさが燃え尽きる前に消すことで、皮膚に火傷を残さずに温熱刺激を与えることができます。これにより、敏感肌の人や痛みに弱い人でも安心して施術を受けることができます。
透熱灸は、その深い刺激効果から、慢性的な痛みや深部の筋肉のこり、冷え性などに対して特に効果的です。また、免疫力の向上や自然治癒力の活性化にも寄与するため、健康維持や予防医学の一環としても利用されています。透熱灸は昔の人は家庭で結構行っていました。ご高齢の方はよく「昔、家族にお灸をすえられてね、これがその痕だよ」などとおっしゃる方が良くいらっしゃいます。昔はお灸がとても身近でよく効くということを知ってました。
その他
灸頭鍼
灸頭鍼は、鍼の上にもぐさをのせて広く温める方法であり、鍼とお灸を同時に使う技術です。この治療法は、鍼が身体に刺さっている状態で、上についてるもぐさがじわじわと温まり、その温かさが身体の芯まで伝わってくるという独特な感覚をもたらします。そのため、施術中は非常に心地よく、多くの人がそのリラックスします。
また、灸頭鍼の温熱効果は、血行を促進し、筋肉の緊張をほぐす効果があるため、慢性的な痛みや疲労を感じている人にとって特に有効です。治療を受けると、身体がじんわりと温かくなり、心地よい眠気を誘います。そのため、ストレス解消や癒しを求める人にも人気です。
さらに、灸頭鍼は副作用が少なく、自然治癒力を高める手助けをするため、定期的に施術を受けることで、全体的な健康状態の向上を図ることができます。初めての人でも、リラックスして施術を受けることができ、その効果を実感することができます。多くの人々が、この治療法の独特な温かさとリラックス効果を楽しんでおり、繰り返し受けたくなるほどの魅力があります。
火鍼(かしん)
火で熱して先が赤くなった鍼を瞬時に刺入する方法です、一瞬のことなので痛みはありません。私が火鍼を使っていてとても有効だと感じた症状は、「肉離れ」です。肉離れは冷えが極まってしまったために筋肉が硬くなり損傷してしまうと考えられます。肉離れした後、その部位が硬くなってしまうのですが、火鍼はこれにとても有効で、刺した直後からかなり緩みます。