不眠症と鍼灸
不眠症
不眠症とは、入眠障害(寝つきが悪い)・中途覚醒(寝ている途中で覚醒してしまう)・早朝覚醒(早朝に目覚めて二度寝ができない)などの睡眠に関する症状があり、そのために日中に・意欲低下・倦怠感食欲低下・集中力低下などの不調が出現する病気です。 不眠は誰でも経験しますが、自然に改善して再び眠れるようになることが大部分です。
不眠症に悩まされている人は10人に一人、比較的女性に多いです。
不眠で悩む人の割合は、加齢に伴って増加します。これは、加齢により必要な睡眠時間が短くなることと、睡眠・覚醒のメリハリが小さくなり、夜間の眠りが浅くなるとともに、昼間に眠気が生じやすくなることが関係していると考えられます。
不眠症の原因
不眠症の原因として考えられるのは、「環境要因」、「生活習慣的要因」「心理的要因」、「生理的要因」、が挙げられます。生活環境の多様化や、生活リズムの乱れ、過度なストレス、高齢化などさまざまな要因で不眠症を訴える方が多くいらっしゃいます。
身体では自律神経の乱れが不眠症をひき起こしている
身体には「交感神経」「副交感神経」という二つの自律神経によって人間の身体を動かしています。大まかにいうと「交感神経」は体を活発にさせる働きがあります。一方「副交感神経」は体をリラックスさせる作用があります。
自律神経の切り替えがうまくいかなくなることで不眠症に
正常な人は睡眠に入るとき、この「交感神経」と「副交感神経」のうち体をリラックスさせる「副交感神経」が優位に働きます。
過度なストレスがある人の場合は交感神経が過緊張状態になってしまい、副交感神経への切り替えがうまくいかなくなり、寝る時間になっても交感神経優位状態で寝つきが悪くなったり、眠りが浅かったりするのです。
鍼灸で自律神経を整え不眠症を改善
鍼灸治療は自律神経の働きを利用して治療していくものになりますので、乱れてしまった「交感神経」「副交感神経」のバランスを整えていくことができます。
鍼灸治療を受けている途中ですごく眠くなってくることがあります。これは鍼灸の刺激によって副交感神経が優位になってきている状態です。
またこの副交感神経が優位になってくると全身の筋肉が緩みやすくなり、無意識に力の入っていた首肩などの力も抜け体が軽く感じられるのです。
身体が重く感じているときは大体無意識にどこかに力が入ってしまっているからです。
鍼では自律神経の働きを引き出し、お灸では鍼でも緩まない冷えたところへ直接熱を加え生命力を賦活させます。
鍼灸治療を受けた次の日は寝覚めがよくなることがよくあります。これは副交感神経への切り替わりができて深い睡眠がとれるようになったからです。