むち打ち(頸椎捻挫)に対する鍼灸治療
整形外科
みなさんこんにちは、大田区中央1丁目にございます大森くれよん鍼灸院の新垣です。
むちうち(頸椎捻挫)とは?
むちうちは正式には「頚椎捻挫」や「外傷性頚部症候群」と呼ばれ、強い衝撃で首(頚椎)に負担がかかり、痛みや不調が生じる状態です。主な症状は首の痛みや動かし難さ、しびれ、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、顎関節の痛みなど多岐にわたります。これらの症状は負傷から数時間後や翌日など、遅れて出てくることがあります。多くの症状は2~3か月以内に徐々に改善されますが、中には数カ月や数年にわたり苦しむ場合もあります。
むちうちは衝撃を受けた際に、頸椎の損傷を防ぐために反射的に筋肉が緊張することで発生します。衝撃が大きいと、筋肉の部分断裂やじん帯の損傷が起こり、症状が重くなります。むちうちの約7~8割は捻挫型の「頸椎捻挫」と診断され、これは首の筋肉やじん帯、関節包を損傷するものです。軽度の場合は「頸椎捻転」と診断されることもあります。
これらの症状は適切な治療を行えば後遺障害を引き起こすことは少ないですが、症状が軽いからと言って放置すると悪化する恐れがあります。
むちうちの原因
強い衝撃により頭が揺さぶられることで、首(頚椎)に負担がかかり痛みや不調が生じます。主な原因としては、自動車での追突事故、スポーツ時の衝突、高所からの転落などがあります。衝突事故の際には、前後方向の急激な加減速が体幹と頚部、頭部に加わり、これが鞭を打ったように動くため、頚椎に過度な屈曲と伸展が生じます。その結果、頚椎にS字型の湾曲(S-shape curve)が作られ、頚椎を支える靭帯や結合組織、関節包が損傷します。
事故後すぐに首の痛みが出ることもありますが、多くの場合、数日してから損傷のダメージが明らかになります。
むち打ちに対する現代医学的治療方法
治療はほとんどの場合、手術は必要なく、保存療法が行われます。急性期(発症直後の3日~1週間)には、消炎鎮痛剤の服用や湿布、筋弛緩薬で痛みを緩和します。症状が強い場合は、頚椎カラー(首の固定用装具)を使用し、安静を保ちます。
初期治療では、筋肉を冷やし、痛み止めを服用します。その後、首のけん引や温熱療法が中心となり、頚椎カラーで首の負担を軽減します。
むち打ちに対する鍼灸治療
むちうちの原因として体の生命力の低下があります。生命力を回復させることで、むちうちの症状を改善することができます。
全ての病は「生命力の低下」から起こるため、むちうちの場合も生命力を上げれば症状が消えていきます。
鍼灸治療でむちうちを治療する場合、次の二つが軸になります。
- 生命力を回復させる
- 生命力を低下させている要因を取り除く
①生命力を回復させる
東洋医学の考えでは、全ての病は「生命力の低下」によって起こるとされ、むちうちの原因も生命力の低下とされます。鍼灸で固まった気を動かしたり、冷えている部分をお灸で温めたりして、自分で温める力を引き出し、生命力を回復させます。
②生命力を低下させている要因を取り除く
生命力を低下させている要因はさまざま考えられます。例えば、過去に負ったケガや手術痕は古傷として残り、体に悪影響を与え続けます。また、日常の生活習慣も生命力に大きく影響します。食生活、睡眠、仕事環境、住居環境、人間関係など、日常のすべての出来事が生命力に影響を与えます。自分の生命力を低下させている要因を特定し、それを改善することが必要です。
さらにむち打ちの場合は頸部に血流のうっ滞が起きることがよくあります。この頸部の血流のうっ滞血流を改善するために、針で刺絡療法という処置を行います。
東洋医学では滞っている血液を瘀血(おけつ)といいます。むちうちが起こるとこの瘀血が頸部に溜まってしまい全身に悪影響を与えます。ですので速やかにこの瘀血を排除しなければなりません。
反応の強いところに針を打ちそこにカッピングを行い瘀血の排出を促します。瘀血が排除されますと症状が楽になっていきます。首はとても大事なところですので、刺絡を行うとほかの症状も着ていくことが多いです。
※刺絡療法は病院で行う瀉血とは違うものです。
そのため、最初の問診では日常生活について詳しく聞いていきます。