私たちの体は、重要な臓器が中心部に集まる構造で、一定の温度(通常は37度前後)を維持しようとしています。特に寒い状態では、中心部に血液を集めて体温を保とうとし、その結果手先や足先には血液が行き渡りにくくなり、温度が下がりやすくなります。その結果、末端部分である手先や足先が冷えやすくなり、冷えを強く感じることになります。
末端冷え性に対する現代医学的治療法
- 入浴、半身浴
- 運動
- 食事
- マッサージ
①入浴
冷え性の改善において、お風呂にゆっくりと浸かることが効果的です。38℃~40℃くらいのぬるめのお湯に入浴し、じんわりと汗をかく程度まで時間をかけると、副交感神経が優位になり、血管が拡張して血行が改善します。入浴前後には十分な水分を摂り、入浴後は早めに靴下を履くなどして冷えを防ぐことも重要です。特に半身浴を行う際は、浴室全体やお湯の温度を冷えにくいように適切に保ち、リラックスして体の芯から温まりましょう。
②運動
新陳代謝を促進して血液の流れを良くするためには、運動が最も効果的です。ハードなスポーツでなくても構いません。軽いウォーキングでも十分です。毎日の生活で歩く量を増やしたり、仕事や家事の合間に簡単なストレッチを行ったりするだけでも良い結果が得られます。特に、就寝前のストレッチは血行が良くなり、体温が上がるため、より良い睡眠が期待できます。普段の生活で少しでも体を動かすことを心掛けてみてください
現代医学的にはストレスを緩和して自律神経の乱れをただしたり、生活習慣の見直しを図り、冷え性の改善に努めます。
冷え性に対する東洋医学的鍼灸治療法
原因は「芯の冷え」
末端冷え性の原因は身体の芯が冷えることによっておこります。体にとって重要な臓器は体の中心に集まっています。ですので体が冷えているとき、一番大事な内臓を冷やさないためにそこへ血流が優先されて。手足が冷えていくのです。
ですのでこの芯を温めることを治療の方針とします。
また当院の治療法で最も重要なのが、この芯の冷えを生み出している、生命力の低下を高めていくこととです。芯が冷えやすい人は、元の生命力が低い傾向にあり冷えに影響を受けやすい状態であると見ます。
この生命力が低下する原因はさまざまな要因が絡んでおり、ひとそれぞれ違いますのでそれぞれの人に合わせて対処することが必要です。
生命力を高めることにより、芯が温まってきて、末端も温まっていくのです。
食事
身体を温める「陽性」の食べ物や身体を冷やす「陰性」の食べ物、どちらにも該当しない「中性」の食べ物が存在します。 血液循環を良くして冷えを改善するために、「陽性」の食べ物を取り入れてみましょう。
「陽性」:根菜類の中には生姜、ネギ、にんにく、ごぼうなどが含まれます。これらは寒冷地で収穫される野菜が多いです。また、スイカの皮に豊富に含まれるシトルリンや、黒い物質として胡麻、黒豆、あずきも陽性の食べ物になります。
「陰性」:暖かい地域で育つトマトやきゅうりなど、土から上に実がなる野菜がこれに該当します。生で食べることができる野菜や、白い物質である砂糖や合成甘味料、水っぽいもの、柔らかいもの、スナック菓子、チョコレートなども陰性の食べ物です。
「中性」:温めたり冷やしたりする傾向がない食材で、主食として適しています。例えば、玄米やむぎなどが中性の食べ物です。
ただし、冷え性であるからといって、陽性の食べ物だけを重点的に摂取するべきではありませんので、バランスのとれた食事が重要です。陰性の食べ物を摂る際には、生でなくても良く、スープやみそ汁に加熱して摂ることがおすすめです。
また、体を温めるための飲み物としては、紅茶、ほうじ茶、烏龍茶、ココア、生姜湯が挙げられます。逆に、冷やす効果のある飲み物には、コーヒー、緑茶、ジュース、水、牛乳があります。