起立性調節障害に対する鍼灸治療
大田区中央1丁目にございます、大森くれよん鍼灸院の新垣です。
起立性調節障害
症状
起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)は思春期前後の小児に多くみられ、起立時に立ちくらみ・めまい・ふらつき、頭痛、などが起きる自律神経の機能失調です。
また、気分不良、倦怠感、動悸、腹痛、食欲不振、朝起きられない、不眠など、時には失神発作を起こしてしまうこともあります。
原因
起立性調節障害は、自律神経がうまく働かないことによって起こります。主に小学校高学年から中学生・高校生などの思春期に好発します。思春期の子どもが朝起きられず、学校に行けないなどのよくある症状は、起立性調節障害が原因となっているかもしれません。
身体は、起き上がると重力によって血液が下半身に貯留し、心臓へ戻る血液量が減少し血圧が低下します。これを防ぐために自律神経の交感神経が興奮して下半身の血管を収縮させ、心臓へ戻る血液量を増やし、血圧を維持します。しかし、自律神経の機能が低下した結果この機能がうまく働かず、下半身に貯留した血液が上に戻らなくなるので、血圧が低下し脳血流が減少し、いろいろな症状が現れます。
起立性調節障害は、自律神経の調節の乱れによって起こります。 自律神経活動は、早朝になると交感神経活動が増えて身体を活性化し、日中活動できるようにしていき、夜には副交感神経活動が高まり身体をリラックスさせ休養できるようにしていきます。 ところが起立性調節障害では、午前中に活性化してくるはずの交感神経が活性化せず5~6時間以上も後ろにずれ込んできます。そのため体が起きれなくなるのです。
この自律神経は無意識のところで働いている神経なので、基本的に自分の力で操ることはできません。
この自律神経が乱れる原因はさまざまあります。特に思春期ですと体の変化が急激に起こる時期です、なので様々なホルモンの影響、急激な体の成長、思春期での様々な精神的ストレスなどが影響してきます。
もし朝起きれなくて辛そうにしている子供がいましたら、それはただやる気がない、怠けているわけではない可能性が高いのです。自律神経の乱れる起立性調節障害という病気の可能性があります。
現代医学的治療法
起立性調節障害に対して行われる主な治療法は以下の通りです。
- 適度な運動と水分・塩分摂取
- 生活リズムの改善
- 薬物療法
などがあります、メインの治療法としては①、②になりますが効果不十分な場合に薬物療法を行います。
①適切な運動と水分・塩分摂取
循環血液量を増やすために十分な水分と塩分を摂取することが大切です。
起立性調節障害は自律神経がうまく働かないことにより血流が上半身へ戻りづらくなるのですが、そもそもの循環血液量がすくないようでは戻すものも戻せないので、循環血液量を増やすことが大事です。(増やすのが大事ですが、適切な量にすることが大事です!やりすぎはかえって症状を悪化させる可能性があるので専門家に相談しましょう!)
②生活リズムの改善
生活リズムの改善が大事だといわれますが、そもそも自律神経が乱れてリズムをただそうにもただせないのでこれは難しいことだと思っています。(院長の持論です)
パソコンやスマホを必要以上に見るのを控えたり、食生活では早食いを気を付けるなどがあります。
③薬物療法
上記の対象方で効果がいまいち出ないときは薬物療法がおこなわれます。
第一選択薬はミドドリンというお薬で、末梢血管を収縮させる作用があり、起立直後の血圧低下を軽減することが出来ます。他には、ミドトリンが効かない方にアメジニウムというお薬が使われる場合もあります。こちらは交感神経活動が低下して、血圧・心拍数が臥位、立位ともに低下している場合に使用します。
他に、プロプラノロール、メシル酸ジヒドロエルゴタミンなどといった血管を収縮させる薬が使われることがあります。
東洋医学的治療法
起立性調節障害で自律神経が乱れるのは生命力が低下しているから
当院では全ての病の原因を生命力の低下したことによりでた症状と考えます。
ですので、起立性調節障害も生命力が低下したことによりでてきた症状と考えます。
人間を動かしている力を総称して生命力と言っています。この生命力が何らかの原因で低下してしまうともともと弱いところに症状が出やすくなります。
起立性調節障害の場合は、様々な症状が出ている原因は自律神経の乱れになります。さらに自律神経が乱れる原因として、様々なストレスが原因と考えられます。
この場合、元の生命力が弱くなっていたためにストレスとに対抗できなくなり起立性調節障害になったと考えられます。つまり自律神経のバランスを整えるだけでは十分ではなく、この根本的な生命力を上げなくてはまた再発しやすくなるのです。また生命力を上げることにより多少のストレスを受けても耐えられる強い体になりますので、また起立性調節障害になりづらくなります。
東洋医学的な観点で起立性調節障害を考えると思春期は気(エネルギー、生命力の総称)の働きがとても活発になる時期です、成長にエネルギー(生命力)が多く使われますので、自律神経が弱い人だと自律神経を正常に働かせるところへのエネルギー(生命力)が足りなくなり起立性調節障害や、自律神経失調症といった病になるのです。
この全身を動かしているエネルギーを生命力と分かりやすく言いますが、この生命力が低下することにより、起立性調節障害といった症状が出てくるのです。
当院は東洋的発想を基にした治療法である積聚治療を行っています。積聚治療について
鍼灸治療は自律神経を整えるのが得意
鍼灸治療医は実は自律神経を整えるのが得意です。というよりも鍼灸では自律神経の反応を用いて治療していくのです。
当院では鍼灸をしながら都度筋肉の状態や、痛み、感じ方の変化を詳細に確認しながら、鍼灸の刺激が体にどのように影響しているかを把握しながら施術していきます。
ですので鍼をさしっぱなしでおいておくのではなく、針をしながらずっと体の変化を確認しています。このほうが自律神経に対する適切な鍼灸の刺激を与えることができるのです。
鍼をしていると鍼をしたところとは別の場所がすごく緩んできます、これは針の刺激が副交感神経の活動更新させ、筋肉を弛緩させているのです。針の刺激に自律神経はすごく反応しますので、自律神経を整える治療法としては一番効果があると感じています。
天気や気圧などに左右されることも
「雨の日や曇りの日は、なんだか体調が悪い」「梅雨や台風の時期はいつもだるい」といったように、天候によって体調が大きく左右されることはありませんか?
天気や気圧、気温は血圧に影響を与えるといわれています。実際に気圧が下がった時、例えば雨の日などに血圧を測ってみると、いつもよりも数値が低くなっているでしょう。
気圧とは空気の重みであり、気圧が急に下がると体にかかる圧力が減って血管が広がり、血圧が下がってしまうためです。自律神経がきちんと機能していれば、血管を収縮させて血圧の低下を防ぎますが、自律神経の働きが乱れていると血圧は下がったままに。そのため、起立性調節障害の方も、雨の日や曇りの日、暑い時期には体調不良が表れやすくなります。
また、春先から初夏にかけては気温が徐々に上がることで血圧が下がることに加え、進学やクラス替えなどでストレスがかかることから、発症や症状悪化のリスクが高くなります。
起立性調節障害に悩まれている方へ
不登校の原因にもなっている起立性調節障害は中高生の10%悩まされているといわれています。かなり多い数字です。起立性調節障害は学校へ行きたくても朝起きられ無い、ただ怠惰だということではなく本当に起きられないのです。
もしかしたら「お前は怠けているだけだ」と周りから理解されない方もいらっしゃるのではないかと思います。症状よりも辛いのは周りの理解がないことだと思います。自分のつらさを分かってくれる人がいないとかなり辛いことです。
当院ではそのように悩まれているかたの助けになればと思い鍼灸治療で全力でお手伝いいたします。
大森くれよん鍼灸院積聚治療のながれ
院長 新垣智一